老猫を保護しました②
病院に着いて、さきほど連絡した者ですと名乗ると、すぐにわかってもらえました。
問診票の記入をしなければなりませんが、なにせ野良ちゃんなので不明なことだらけです。
記入できそうなところだけ埋めて提出しましたが、それでOKとのことでした。
あまり待たされずに診察室に通されました。みみちゃんが鳴き続けているので助かります。
先生は傷口をみて、
「これはネコの牙のあとだね。他のネコにやられたかな。皮膚が死んでると思う。カサブタになってくれればいいが、穴ぼこになるかもしれない」
と言いました。
弱いネコは襲われやすいです。みみちゃんは縄張りに他のイキったネコが侵入してくると、そそくさとその場を去ります。絶対に喧嘩はしません。
あのあたりはネコが多くて、ふらりとやってきては若い雄ネコちゃんに追い払われるネコが後を絶ちません。犯人の特定は不可能です。若い雄ネコちゃんとみみちゃんは仲良くやっていたので、雄ネコちゃんではないと思いたいです。
それより、皮膚が死んでるってどういうことなのでしょう?
カサブタになれば皮膚が再生するが、穴ぼこになったら縫合する必要があるそうです。
外にいるのは危険だから、治るまでの間だけでも部屋に入れてやるようにと言われましたが、急なことだったので、ネコを迎える準備ができていません。
うちにあるのはトイレだけですし、反対する母の手前、ケージに入れる必要もありました。
事情を話し、準備ができるまで入院させてもらうことにしました。
携帯に飲み屋のママさんから着信と留守電が入っていました。
傷口の写真を見せながら説明したかったので、ママさんの店に行きました。
ママさんは、みみちゃんの傷が悪い人間にやられたものでないとわかって、ホッとしていました。とても人懐こいネコなので、いつか変な人に何かされるんじゃないかと心配していたそうです。
あと一応、私の家で保護してもいいと思っている、と前置きをして、ママさんが保護するか?ママさんの親しい人に保護してもらいたいか?を聞きました。
ママさんは「私の家では面倒みれないの。頼める人もいないし、あなたが預かってくれるならお願いしてもいいかしら。入院でかかった費用は私が払うから」と言ってくれました。
今までママさんとは2、3回立ち話をした程度だったので、信用できないと言われなくてホッとしました。
入院費に関しては、外に戻すつもりはないことを話していないので、それでも払ってくれるのかはわからないなと思っていました。
次の日はケージ探しです。部屋に置けるサイズのものを見つけなければなりません。
ホームセンターを4軒まわりました。
ほとんどのホームセンターではキャットケージは1種類の取扱いのみで、唯一コーナンは種類が豊富でしたが、残念ながらどれも大きすぎてダメでした。
猫用の高さのある食器だけ購入しました。
ケージをすぐに設置して、翌日迎えに行きたかったのですが、仕方なくネットショップで買うことにしました。
最短で火曜日の到着。そこから設置して、水曜日にお迎えです。
入院費は1日3,000円。なかなか痛い出費です。
月曜日、みみちゃんのお見舞いに行きました。
2つあった穴ぼこのうち、1つはカサブタに、もう1つは創液という治るための汁が出ていました。
先生は「膿んでないから、これはカサブタになって治りますよ。よかったね」と。
白いのはパウダーをまぶしてあるそうです。
入院中の様子を教えてくれましたが、昼間はおとなしいけど夜は暴れて、トイレをひっくり返して大変だったということです。
あとごはんをあまり食べてくれないから、いつもあげてるごはんを持ってきてほしいと言われました。
色んな人から色んな美味しいもの貰ってたから、身体に良い病院食は嫌だということでしょうか。人間でもそうですよね。
それより夜暴れると聞いて不安になった私は
「この子を家猫にしたいのですが大丈夫でしょうか」
と聞いてもしょうがないことを聞きました。
大変でも外に戻す選択肢はありません。一度家に入れたのに外に戻すのは、捨てるのと同じことです。
「大丈夫だと思いますよ。基本的におとなしいですし」
というのが先生の答えでした。
面会中は外していましたが、最後にエリザベスカラーを装着されると、みみちゃんは今まで見たこともないような不機嫌な顔をしました。
思わず笑ってしまいましたが、夜暴れる原因はコレなのでは…?と思い、帰ってからドーナツクッション型のエリザベスカラーをポチりました。
火曜日、ケージが届きました。大きさは部屋のスペースギリギリでした。
接地面積が小さいケージしか選べなかったため、1階はトイレで埋まります。
ケージを設置中に母があーでもないこーでもない、と口出ししてきます。心なしかウキウキしているように見えました。
腹をくくったのか、家にネコが来ることにまんざらでもなさそうです。
水曜日、ついにお迎えです。
傷口は立派なカサブタができていました。
「綺麗に治ってくれると思いますよ」と先生。
傷が治るまでは薬を飲ませ続けなければいけないので、錠剤にするか粉薬にするかを選びます。
錠剤だと毎日口をこじあけて飲ませなければならず、初めてネコを迎える私にはハードルが高いです。
ウエットフードをたくさん買ってあるので、粉薬にしてもらいました。
気になるお会計は、約36,000円。
高いですが予想の範囲内でした。
キャリーバッグの中で鳴き続けるみみちゃんを連れて帰宅です。
ケージの前で解放して、まずトイレに乗せました。するとすぐにオシッコをしました。
ネコはトイレのしつけが必要ないとは聞いていましたが、トイレがすぐにわかるなんてすごいです。
ケージ周辺を歩いて、キョロキョロと興味津々で眺めていました。尻尾を立ててスリスリとご機嫌が良さそうです。
粉薬を混ぜたウエットフードを目の前に置くと、抵抗なく食べてくれました。一安心です。
ドーナツクッション型エリザベスカラーを装着し、ケージに入れると、鳴き始めました。
くつろいでほしい2階3階には居てくれず、トイレで鳴き続けます。
かわいそうになって出してやると、鳴き止んでスリスリしてきます。人のそばにいたいみたいです。
これは困りました。母から譲歩をひきだした条件に、ケージに入れるというのがありました。
心を鬼にしてケージに入れます。ごはんはケージの外で、ケージにはお水を入れておきます。
心配していた私のネコアレルギーですが、鼻水が垂れてくる程度で、全然やっていけそうです。
結局夜もケージのトイレの中で鳴き続けて、眠れませんでした。
みみちゃんもトイレで過ごす夜は寒かったはずです。
今思えばかわいそうなことをしました。
ずっとこんな感じでした。